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水替工の形態について

水替工の形態について
投稿者:管理者(利光) 投稿日: 8月17日(日)12時25分30秒

メールによるお問合せに対する管理者の回答です。
排水量の計算方法が水替工の形態によって異なることを説明したものの一部です。
参考になりますでしょうか?

(前文省略)

地下掘削工事に伴う水替工の形態は大別すると、次のとおりです。
(私の個人的な考えですが・・・・。)

(1)湧水処理

簡易土留、親杭横矢板土留などのような止水性のない土留工法を用いる場合および鋼矢板、SMW地下連続壁のような止水性土留であっても、その根入先端を回り込む地下水が存在する場合には地下水が湧水となって掘削溝内に絶え間なく供給され続けます。
したがって、地下掘削工事を行うには湧水量、掘削規模などの条件によって適切な水替工法を選択しなければなりません。
湧水量が少なく地山が自立するのであれば釜場排水工法、掘削深度が4~5m程度であればウェルポイント工法、掘削深度が5m超であれば、ディープウェル工法となります。
周辺地盤に与える影響が大きく、水位低下に伴う地盤沈下等の発生が懸念される場合があります。

(2)タマリ水処理

鋼矢板、SMW地下連続壁のような止水性土留が採用され、その根入先端部が盤ぶくれ現象に対して安全な粘性土層(難透水層)に到達している場合、土留壁および難透水層によって掘削溝内への地下水供給路が遮断され、掘削溝内の地下水はタマリ水(宙水)となります。
この場合、水替工によって排水可能な地下水量は次式で算出されます。

      (総排水量)=(地下水面以深の掘削対象土量)×(有効間隙率)

有効間隙率は比産出率とも言われ、土質によって異なります。
砂質土の場合で最大約40%、粘性土の場合で最大約20%程度です。
いずれにしても、排水量は前(1)に比べ極めて少量となります。
このケースの最大の特徴は、周辺地盤に与える影響が小さいことです。
土留壁からの著しい漏水がなければ、土留壁背面側の地下水位はほとんど低下しませんし、水位低下による地盤沈下も起こりません。
環境保全上、最も好ましい仮設計画です。
適用される水替工法は、タマリ水処理が主目的ですから釜場排水工法でもかまいません。
掘削深度が深い工事ではドライワーク化を促進するため、ディープウェル工法を採用することが多いようです。 

(3)減圧処理

粘性土層と砂質土層の互層地盤を掘削する場合に、粘性土層が直下被圧帯水層の地下水揚圧力で持上破壊(盤ぶくれ)を起こすことがあります。
防止対策のひとつが減圧処理です。
被圧帯水層の間隙水圧を地下水位低下工法で減圧します。
排水量は減圧水頭や透水係数によって変動します。
排水期間は盤ぶくれ現象が懸念される期間に限定されます。
躯体構築によるカウンタウェイトの増大が見込める場合があるからです。
減圧によって、(1)と同様に周辺地盤に対する影響が懸念されます。
減圧対象土層深度が浅い場合はウェルポイント工法、深い場合はディープウェル工法が用いられます。

(4)併用処理

前(1)、(2)、(3)を用途に応じて併用させる場合があります。

(以下省略)