NO,3
揚水量計算
投稿者:BBQ 投稿日: 7月 7日(月)11時48分31秒
1.鋼矢板を打設した掘削側にディープを計画する場合の揚水量計算手法を教えて頂けないでしょうか
2.上記の場合、築造する構造物とディープの離隔があまり取れません。
ディープによって基礎地盤への影響(砂等の吸い込みによる沈下など)はありませんでしょうか
3.現場透水試験値と横方向の透水係数は1オーダー程度違うと聞いたことがあります。
本当でしょうか
BBQさんへお答えします。
投稿者:管理者 投稿日: 7月 7日(月)20時16分11秒
BBQさんへ
水替工法会議室へご参加いただき、ありがとうございます。
さて、簡単ですが、御質問にお答えいたします。
1について
揚水量の算定において、止水性土留壁の止水効果を定量的に評価するには有限要素法による浸透流解析が適当と思います。
ただし、境界条件、透水係数(鉛直方向、水平方向)などの設定方法に熟練が必要のようですし、それなりの費用も必要です。
簡単な式では「マスカットの式」や「ハーの式」があります。
これらの式は矢板背面水位が低下しないことを条件に成立していますので、揚水量が大きめに算出される傾向があります。
他にも算定式があるようですが、実用的ではなさそうです。
文献「根切工事と地下水」の239ページ「(3)止水壁の根入れ長さと湧水量」によると、根入れ長を極端に長くしなければ、湧水量の著しい減少は見込めないことがわかります。
したがって、止水壁の存在を無視してディープウェルの設計を行うことが一般的であろうと考えています。
2について
ディープウェルの掘削工法にもよりますが、通常、鋼矢板を打設した後にディープウェルを設置します。
これは、矢板打設時にディープウェルに損傷を与えないためです。
躯体と矢板の間に余裕が無い場合は、矢板を出窓状(2m×2m)に打設し、その中心にディープウェルを配置することがあります。
削口径を1,000mmとしていますので、矢板にぶつかることはありません。
砂の吸い込み現象は地山の土質とフィルタ砂利の粒度特性に大きく左右されます。
また、ディープウェルの運転方法によっても砂を吸い込むことがあります。
バルブを全開にした状態で、スイッチONするような運転は慎まなければなりません。
つまり、砂の吸い込み現象はフィルタ砂利の粒度特性とディープウェルの運転方法に大きく左右されることになります。
3について
単孔式透水試験のことだと理解してお答えします。
ご指摘のことはよく耳にしますし、土質調査報告書に明記されていたものを見たこともあります。
ただ、これを論理的に解説したものを見たことはありません。
恐らく、次のことが理由だと思います。
(1)土中に浸透したベントナイト泥水を完全に洗浄除去することが難しく、地山の透水性が小さくなっている。
(2)回復法により削孔穴内の水位を低下させると削孔穴底部に設けた試験孔がボイリング現象により崩壊し、解析モデルが成立しないことがある。
文献「根切工事と地下水」の44ページ「1)単孔式透水試験」によると、単孔式透水試験はシルト、粘土のような透水性の小さな地層に対して開発された方法のようです。
シルト、粘土は自立性の良い土ですからボイリング現象による試験孔の崩壊は起きませんので十分に実用的だと思います。
いずれにしても、現場透水試験結果がオールマイティーではないことを理解し、クレーガやハーゼンの透水係数(土の粒度特性からの推定値)などを参考にしながら、透水係数を設定しなければなりません。